非公式物産展【キッチンうろ覚え】アフリカ旅行編lecture&meetingの日。
6日(日)は、非公式物産展【キッチンうろ覚え】アフリカ旅行編のレクチャー&ミーティングの日だった。これは、13日(日)に、うろ覚えのアフリカ料理を実際に作って食べるための、「公開打ち合わせ」。ドキュメンタリーを生で見ている感じで、すごく楽しく収穫もあった。
アフリカ旅行をした2人と、アメリカでホームステイの最中にアフリカ料理を食べた1人が、うろ覚えのそれを思い出そうとする。非公式物産の大村みよ子さんが、それを黒板に書いていく、そばで会場であるアフリカンバル tribesのオーナー石川さんが、さまざまなレクチャーというかアドバイスをして、3人が思い出そうとするのを助ける。
料理がどう記憶され、伝播するか、とくに記憶がどう上書きされていくかの生の場面であり、なかなかスリリングでもあった。
当日は、地下鉄四谷三丁目駅から歩き、新宿通り側から荒木町の飲食店街に入った。こちらから入るのは、初めてだ、しかも昼。日曜日ということもあり、駅周辺から閑散としていた。
13時スタートだったが、おれは15分ほど遅れた。店の前のオープンテラスで、ちょうど始まるところだった。
非公式物産展の提灯がぶらさがり、アフリカの地図や地球儀、それに注文したアフリカのビールなどが配置され、雰囲気も上々。
うろ覚え調理人3人。RICOさんはアメリカ・メリーランド州シルバースプリングでおそらくガーナ料理と思われるチキンのグランナッツシチュー、rezzyさんはセネガル・ダカール州ゴレで食べたプレ(チキン)ヤッサ、野暮酒場さんはモザンビーク・マプトの市場の安食堂で食べたアジフライぶっかけめしを作るツモリだ。
石川さんが地図でその場所を示しながら、その国の人口や歴史などを話す。セネガルとガーナは大西洋側で、古くからラテン系ヨーロッパの国々の支配が強かった。モザンビークはインド用に面し、やはりラテン系ヨーロッパ(ポルトガル)の支配があったが、インドや東南アジアとの交易も盛んだった影響が町並などにも残っている。
話を聞いていると、ラテン系の支配があった地域は、やはりクレオールの文化や料理との共通性もありそうな印象があった。
野暮酒場さんの場合、約1年3カ月かけてのバックパック旅行の最中、1997年にエジプトに入り、当時は内戦があちこちであった時期だが、スーダンは危険なので飛行機で通過、エチオピアから海岸沿いに下りモザンピークに着いた。アフリカ滞在は、一ヵ月半ほど。
途中の国々は、ラテン系とはちがいイギリスの植民地だったところであり、めしは口に合わなくて、マズイだけだったが、モザンビークに入って、やっと「うまい」といえるめしにありついた。それが、東南アジア料理のような趣があって、とても懐かしく感じたという。
彼が克明に記録した手帳には、ちゃんと「アジフライぶっかけめし」と書いてある。もちろんこれは正式名称ではなく、黄色いスパイシーなサフランライスのようなものにアジフライがのっているだけだったが、それを彼は、「アジフライぶっかけめし」と呼んだのだ。ちなみに、おれの『ぶっかけめしの悦楽』は1999年だから、まだ読んでなかったという。
彼の記憶で確かなのは、長粒種の黄色いライスと、その上にのっかったアジフライだけで、そのほかのことはアイマイだ。そこを石川さんのアドバイスを受けながら、さぐる。石川さんは、何かソースのようなものは使わなかったかと聞くが、思い出せない。ライムのようなものを絞ってかけたのではないかというと、そういえばと思いだす。といったぐあい。
そのようなミーティングの結果、黒板の野暮酒場さんのところには、大村さんによるこのようなメモが残った。
モザンビーク、マプト、インド文化入っている町並が面白い、2139万人、内戦後1997年、50円弱、・米(長い)ターメリック、ココナッツ缶、・アジ素揚げ ・トマト、ライム(レモン)、アーリーレッド(むらさきタマネギ)、チリ、パクチー、青とうがらし、・サラダ油
アジの素揚げに使われた油は、ヤシ油の可能性が高いが、入手価格の関係もありサラダ油を使うことにした。アーリーレッドは入手が難しいので、日本のむらさきタマネギに。ついでにパクチーを入れた方がうまそう。というふうになったのだ。
こんなふうにして、それぞれの、うろ覚え掘り起こしがされた。途中で、よくわからないソースを、石川さんが、タマネギやトマトなどで、ちゃちゃっと作って、これでしょうと差しだしすと、試食してみた調理人が「これ!」と思いだす場面もあった。
こうして、なんとかレシピになりそうなものができたところで、買い出しのためのリストを作る。やはり、調味はタマネギとトマト、それにマギーが、共通のベースだ。来客数や単価などもはじき、だいたいの予算もできた。
もう打ち合わせも終わるころ、途中で雨が降り出したので、店内に移動。
石川さんが、アフリカ政府観光局の認定を受けて店で作っているソーセージで、ホットドッグを作ってくれた。500円。これが、うまかった。量もタップリ。ソーセージの肉は羊がベースだけど、いろいろ混ざっている、ワニの肉も入っていたかな?それに、スパイスいろいろ。ソースは、やはりタマネギとトマトがベースで。
会場では、ビールをだいぶ飲んだが、当然さらに飲みたい。終了後は、野暮酒場さんと、ほかの野暮2人と四谷新道の竜馬へ。さらに、もっと飲みたいと、野暮1人脱落のち、浅草橋西口やきとんへ。結果、泥酔記憶喪失帰宅だった。
そうそう、1987年、RICOさんはアメリカ・メリーランド州シルバースプリングに1年ぐらいホームステイで滞在し、そのあとも訪問しているのだが、その家庭の台所の写真が、面白く、いろいろ考えさせられた。取材された台所の写真とちがい、ステイしていた人が撮ったからか、驚くこともあったし、生活や生活の考え方まで、想像できるのだった。
あと、RICOさんの専門の関係でもあり、アメリカの「編集」という職業の仕組みが、ちょっとだけだけど聞けたのもよかった。おれは必要があって、80年前後に、アメリカのデザインと写真の仕事の仕組みと料金について調べたことがあるのだが、そのとき編集についても少しだけ情報があって、日本で考えているのと、まるで「構造」から違う印象があり、そのことを思い出した。
ずいぶん国際化され、多様化や多文化主義もいわれてひさしいが、まだまだ国内だけの偏狭な価値観に凝り固まった脳ミソで、人間や仕事や飲食を見る傾向が圧迫的に存在するから、こうして国境を超えた話をしていると、視野がドバッと広がり解放的な気分で、さまざまなことを見直せるから、とても刺激的だ。
日本人としては「正しく」ても、人間としてどうかということは、たくさんあり、料理や飲食は、そういうことを考えるうえでも大事なのだ。
さて、それで、こんどの日曜日、13日は、 調理人によるtrial&error。13時スタート、作るところから見て、大いにチャチャを入れたり考えたりしたい。
みなさんも、ぜひ。
詳しい案内は、こちら非公式物産展のサイト。
https://note.mu/hi_bussanten/n/nb4964a5db6c8
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