東京新聞「大衆食堂ランチ」37回目、王子 キッチン・タイガー。
昨日は、第三金曜日で、東京新聞に連載の「エンテツさんの大衆食堂ランチ」の掲載日だった。
すでに東京新聞のWebサイトにも掲載になっているので、ご覧いただける。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyoguide/gourmet/lunch/CK2015112002000166.html
そこには、「ひっそりたたずむこの食堂は、見るからに「昭和感」タップリだ」と書いてあっても、例によって、本紙のほうには外観の写真が掲載になるが、こちらにはのらない。
いつもそのことは計算に入れて書いているのだが、今回は、うっかり、というかそこだけではなく、自分の事情でいたらない点がほかにもあった。間違いという意味ではなく、内容的に不足があった。凡庸を心がけている文章も練れてないところがあり。
ちょっと「昭和」に拘泥してしまったか。ほかに書くべきことがあったような気がして、煮え切らない。
「昭和感」「「昭和の食堂」ならでは」というふうに、「昭和」という言葉を肯定的に使ったのは、この連載では初めてだと思う。もともとおれは、大衆食堂を「昭和」の文脈とは違うとらえかたをしてきた。そのなかに「昭和」はふくまれるにしても、もっと大事にしている文脈がある。
ともあれ、キッチン・タイガーは、かつて西日暮里にあって最も足しげく通った竹屋食堂を感じさせた。客席や配達を担当する「「おいら」という言い方が似合う」ご主人、料理を担当するおかみさんも。そこで、ツイうれしくなり、「「昭和感」タップリ」ということになった。
ダメだね、自分で舞い上がっては。いいトシこいて。
しかし、読者の方からメールをいただき、「いいですね。行ってみたいです」と。ありがとうございます。
これはこれでよいのかも知れないとは思うのだが…ま、ヨシとしておこう。
データのところには、「カレーライス630円、スパゲテーナポリタン630円、洋風チャーハン630円ほか」とあり、「洋風チャーハン」もおもしろいし、「スパゲテー」というのもおもしろい。メニューは、お店の表記にしたがって書いているので、そのまま載せている。それが実態だし、個性も感じられる。
ついでに。おれとしては、この100字ばかりの短いデータ原稿で、大いに考え迷う。たいがい多くのメニューから選ばなくてはならないわけだが、メニューはお店の個性であり、自分の興味や記録性ばかりを優先させるわけにはいかないからだ。
そのあたりの折り合いは、けっこう難しい。ライスとみそ汁の値段は、必ず入れるようにしている。もしかすると、お店にとっても読者にとっても、あまり必要ではない情報かも知れないが、記録性ということでは、はずせないと思っている。
本文中にある、皿のふちにある刻印の写真を最後に載せておく。ここに、昭和のハイカラやモダンを感じるかどうかで、トシや昭和に対する認識の違いも判断できそうだ。、
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