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2016/05/18

ツナ・サンドと「サマー・スティルヘッド(夏にじます)」。

ツナ・サンドを食べるときは、「サマー・スティルヘッド(夏にじます)」を思い出すし、「サマー・スティルヘッド(夏にじます)」を思い出すと、ツナ・サンドが食べたくなる。

「サマー・スティルヘッド(夏にじます)」は、レイモンド・カーヴァーの短編だが、中公文庫の村上春樹訳の『Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選』で読んだ。2004年6月の6刷のやつだ。そのころ新刊で買って読んだのだ。

そのときから、いまごろの季節になると、この小説を思い出しツナ・サンドを食べたくなるか、ツナ・サンドを食べたくなって、この小説を思い出すようになった。

だけど、この小説には、「ツナのサンドイッチ」についての詳しい描写があるわけではない。

主人公の少年が、仮病をつかって学校を休んだ朝、弟が学校へ行き、両親が仕事へ行き一人になると、まずはマスターベーションを一発決めたのち、釣りへ行くことにする。

彼は、釣りに出かける前に「ツナのサンドイッチを二つ作り」、「一個食べ、ミルクを一杯飲んだ」。そしてバーチ・クリークという川に着いて、釣りを始める前に「サンドイッチの残りのもう一個」を食べた。これだけなのだ。ほかに、ツナ・サンドについては、なんの話もない。

だけど、最初、これを読んだとき、ツナ缶からツナを出して食パンにのせ、はさんで、ガブッと齧りつきたくなった。

それ以来、その逆も含めて、何度もある。とくに、暑くなると。

この小説は、ツナのサンドイッチのことより、夫婦仲がこわれそうな家庭の少年が、性妄想を逞しくし、何度も硬くなるチンポをマスターベーションで収めるところや、大きな夏にじますと格闘する場面のほうが、はるかに多い。

ツナ・サンドといい、精液とにじますで、なんともナマグサイ話のようだが、ナマグサイ臭いはしない。だが、なぜか、ツナ・サンドが似合う。

このように、とくに食物のことを詳しく書いているわけじゃないのに、「うまそう」と思わせるような描写があるわけじゃないのに、食物が魅力的であるのは、なぜだろう。

いわゆる「グルメ」な読み物でなくても、こういうことがあるのは、食物は生活についてまわるものだからだろう。そこを、どう見るか。ツナ・サンドを作って食べながら、考えてみるかね。

おれのツナ・サンドは、食パンを軽くあぶって、ツナをのせてはさむだけだ。ほかに調味料などは使わない、プレーンだね。ごくたまに、タマネギやトマトも切ってはさむ。ビールがあれば、なおよい。

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