さらば、猫たちのマスター。
昨日、今年になって初めて猫たちへ行ったら、いつものマスターとちがう人がカウンターの中にいた。マスターは亡くなったのだそうだ。
一昨年の11月、須田泰成さんとこのバーへ行ったとき、須田さんが撮影してくれた写真がある。ずっと取材拒否の店だし、貴重な写真だ。開店早々でほかに客がいなかったこともあり、マスターとこんなに話して笑ったのは初めてだった。だいたい、女客には機嫌よく愛相がよいが、男客には無愛想なほうだった。
70年代の中ごろから通い出したおれにとって、このマスターは二代目だったが、実際は三代目。すでに前のマスターも亡くなっている。みな少々偏屈者だった。薄暗く煙草の煙にかすむジャズバーのマスターが似合っていた。
店が続いてくれているだけ、ありがたい。新宿で70年代から通っているバーは、フロイデが昨年だったか閉店したので、もうここしか残っていない。
カウンターの中にいたのは、オーナーさんだった。ウワサに聞くだけだったが、初めて会った。この店はマスターにまかせていたので、これまでこの店に立ったことはなかったという。新宿には、ほかにも経営する店がある。
かなりのレコードマニアのようで、この店の棚にズラリ並ぶジャズ盤は、このオーナーの趣味の反映なのかと納得した。
マスターは、この店では、酒と曲と両方に精通してなきゃいけないし、お客の好みも両方しっていなくてはならないから大変なんだよ、常連はうるさいやつらばかりだしね、と言っていた。
ま、とにかく、マスター、楽しかった。ありがとう。
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