「日本におけるキュビスム ピカソ・インパクト」展。
なーんだ、またキュビスムかあ、ピカソかあ、もういいよ、客数稼ぎの企画じゃないのと思ったが、いつも一味ちがった展示をする埼玉県立近代美術館のことだから、なにか「らしい」特徴があるかもしれないとWebサイトを見たら、やはりひかれるものがあった。
というのも、案内で、戦前の1910-20年代と戦後の1950年代「二度にわたって、別々の文脈で日本の作家たちに受容されたという仮説に基づいて組み立てられています」と述べているからだ。
これは気になるってことで、去年の12月14日に行った。だからもう、この展示は終わっている。古い話で、すみません。
いやあ、行ってよかった。なにより、約160点ほどの展示が、どれもこれも熱気にあふれていて、いまの日本の閉塞になれきった脳ミソをぶちやぶるようなインパクトがあった。
キュビスムのインパクトを受けた人たちの作品のインパクトと、それを伝えようという展示のインパクトをビンビン浴びて、ひさしぶりにコーフンした。
とくに、恩地孝四郎が装幀や挿画などを担当した『感情』や、村山知義が中心になって発行した『マヴォ』などの雑誌の展示は思いがけないことで、うれしかったしすばらしかった。
カタログのデザインも、すましこんだ美術展のそれらとはちがい、カラをやぶる破壊の熱気を放っていて、思わず買ってしまったが、買っておいてよかった。こんなにカタログを何度も開いてみることはなかった。埼玉県立近代美術館は、いい仕事をしてくれる。
最近のニュースによれば、このカタログは、なにやら美術展関係のカタログの賞をもらったらしい。
そして、また今日も開いて見た。熱いねえ。なんとなく賢そうに型にハマって飼いなされていく時代の流れをぶちやぶるようなエナジーを補給するのだ。
異なる文化の受容は、美術のことだけでなく、食にもあるわけで(きのうのエントリーのパンなどのように)、いろいろ考えることが多い。
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