おしゃれが野暮か、野暮がおしゃれか。
おれのような野暮なジジイにはあまり縁がないんだけど、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリクラッシン」というショップがありますね。東日本JRの駅ビルあたりで店舗展開をしているようです。
そこが発行する「THINK LOCAL」というガイドマップは、店舗がある地域ごとに編集されています。
ユナイテッドアローズのサイトを見ると、「THINK LOCAL」には岡本仁さんが関係しているようですね。見本誌としていただいた静岡版にも、岡本仁さんがコラムを寄稿しています。
ルミネ大宮店にも、グリーンレーベルクラッシンがありまして、大宮版が出来たのですが、なんと、このおしゃれな店のおしゃれなガイドマップに野暮なおれが寄稿しています。
おれは「酒がうまくなる歩き方」というタイトルで、登場する酒場は20年間偏愛し続けている大宮東口駅前の「いづみや」なんですが、酒場の紹介より飲む前のオススメ散歩コースを中心に書いています。
氷川神社周辺の地形を散歩しながら、古代から現代までをめぐり、「人の一生は短いが、多くの人たちの摩訶不思議な長い歴史の一部を生きていると実感する」スポットを紹介しています。
氷川神社周辺のことについては、スソアキコさんの古墳部歩きで得たことが、大いに役に立ちました。
それから、大宮公園の北側にある、街が盆栽公園みたいな盆栽町と、そこにある「さいたま市立漫画会館」と隣接する「さいたま市盆栽美術館」ですが、おれは行かずに馬鹿にしていたのだけど、行ってみたら、すごーく面白いのです。一見の価値があります。
初めて「さいたま市立漫画会館」へ行ったときは、「ここがあの!」とビックリしました。施設名に「北沢楽天記念」とかなんとか入れておいたほうがよかったのに。
明治後期から昭和戦前の庶民の歴史資料を調べるとき、必ず見ることになる漫画雑誌があります。『時事漫画』や『東京パック』ですが、ここに描きまくっているのが北沢楽天で、漫画も面白いけど、内容の資料価値が高く、おれは国会図書館や埼玉県の図書館で何枚もコピーして持っていました。
北沢楽天は「日本の近代漫画の先駆者」といわれていますが、とにかく、昭和の初めの日本が戦争に突っ走りだしたころの、財閥の専横や庶民の苦しみといったものまで、あの時代よくこんな漫画を描けたなあとおもうぐらい、すごい風刺の漫画を描いたりしています。モボモガ風俗の漫画も面白いし、関東大震災前後の世相などじつにわかりやすい。とにかく、明治後期から昭和戦前の世相や風俗を知る上で欠かせない資料なんですよ。
その北沢楽天が大宮出身で、そのアトリエが漫画会館だとは知らなかった。初めて行ったとき驚きました。原画の展示はもちろん、楽天が描いていた漫画雑誌の現物が自由に閲覧できるんですよ。たぶん入館者が少ないからだろうけど、写真も自由に撮影できる。国会図書館まで行っていたおれはトウダイモトクラシの大馬鹿者だったとおもいながら、写真を撮りました。
北沢楽天を映画化、主役予定の俳優がこのあいだヤク問題で暗礁にぶつかり、どうなるかとおもっていたら、イッセー尾形に交替して撮影も終わっているようですね。こちら埼玉新聞のニュースにあります。
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/05/14/09.html
北沢楽天に力が入ってしまった。
「THINK LOCAL」大宮には、いづみやのほかに、石田エリさんのコラムでは、72時間ドキュメントに登場してメチャクチャ混むようになってしまった「伯爵邸」や、南銀のアヤシイ横丁にある「三悟晶」や、浦和の浦和レッズのたまり場である「力」がアルディージャの大宮へ殴りこみをかけるように出店した「力」など、ちっともおしゃれじゃないけど人気で、いつも混雑している店が登場している。
「おしゃれが野暮か、野暮がおしゃれか」というかんじで、近頃は面白い。もう「おしゃれか野暮か」じゃない。ナニゴトも「二項対立軸」で見ていてはダメですね。ガラガラ変わっている価値観の多様化の流れがみえなくなりますね。まあ、まだ、どっちが「上か下か」「善か悪か」「右か左か真ん中か」みたいな見方が多いのだけど。
と、紹介しても、これ、ルミネ大宮の店でしか配布してません。東京人は東京にいれば何でも手に入るとおもったら大まちがいです。ああ、こんなにいいもの、こんなにいいおれのコラムを読めないなんてかわいそう。
楽天の漫画の写真も載せておきます。ぜひ、漫画会館で現物をご覧ください。楽天のことは、もっとたくさんの方に知ってほしいです。
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