「スソアキコの帽子の店」のち森美術館のち2軒ハシゴ酒。
きのうは六本木ヒルズアリーナでやっている「生活のたのしみ展」へ行きました。タカビーな場所に、タカビーなものが並び、ボクのようなタカビーな人たちが、たくさん集まっていました。
会場も、「スソアキコの帽子の店」も、大にぎわい。アバンギャルドで実用的なスソさんの帽子がとぶように売れていました。ファッションセンスに優れたタカビーの人たちのあいだでは、「スソアキコの帽子をかぶっている」が、もうステータスになっているのです。もちろん、タカビーなボクも一つ持っていますよ。
ボクは、スソさんにご挨拶し、いつものように帽子をかぶってみてたのしんだあと、日本の芸術的タカビーのシンボル、六本木ヒルズ森タワー53階の森美術館へ行きました。今日から始まる「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」の内覧会を見るためです。ボクぐらいのタカビーになると、毎回内覧会とレセプションのインビテイションが届くのです。
いやあ、この展覧会は、すごくおもしろかった。ほとんどの作品が立体で、手で触れたり、そのなかに入って、自分が作品の一部になれる。遊園地にいるみたいだった。
水はないのにボートが浮かんでゆらゆら動く水面。「この鏡の迷宮から、あなたは現実の世界に戻れるか?」という展示のなかに入ったら、出られなくなりそうであせってしまった。「亡霊になった自分とご対面」や「キミも忍者になれる」「窓の向こうに、もうひとりの自分が…」など、タイトルだけでもおもしろそうでしょう。
「現実(リアル)とな何か」
まるでだまし絵のなかにいるようで、愉快にたのしんでいるうちに何が現実かわからなくなる、レアンドロ・エルリッヒは視覚的芸術的詐欺師ですね。そういえば、たくさんの人を集めていたタカビーな「生活のたのしみ展」も、糸井重里による詐欺的傑作といえましょうか。
この世は、すべて錯覚とペテンで成り立っているのです。だから、自分はビンボーだと思っているあなた、あなた、あなた、あなたたちは、けっしてビンボーではありません。ビンボーというのは錯覚で、あなたはタカビーなのです。
明日までやっている「生活のたのしみ展」へ行って、スソアキコの帽子を買ってかぶってみなさい、気分はもうタカビーです。明日のめしのことなど忘れられます。
明日になって食うものがなかったら、スソアキコの帽子をかぶって、コンビニで盗みをはたらけばよいのです。店員につかまったら、「私をだれだと思っている、この帽子が目に入らぬか」とやれば、留置場か精神病院あたりでめしにありつけるにちがいありません。
そして、1800円払って、ボクはタダで観たレアンドロ・エルリッヒ展のなかを歩いたら、もうこの世に不可能なことはなくなります。森タワー53階のガラスをぶちやぶり外へ飛び出すのです。
そうして飛び出したボクは、虎ノ門の居酒屋で、ワレにかえりました。
飲み物メニューの清酒に、「虎ノ門 300円」「霞ヶ関 350円」とあるではないですか。そんな酒があるなんて、これも先ほどのだまし絵の続きかと思ったのですが、それにしても、この50円のちがいはなんだ。虎ノ門の文科省より霞ヶ関の外務省や農水省が50円分エライということなのか。気になる。同行者の一人と両方とって飲み比べました。
50円の差は、わかりませんでした。ようするに役人は役人です。どちらも伏見のアル添の普通酒で、常温で飲んだのだけど、とても飲みやすく、すいすい飲めるのです。伏見の酒らしい、といえるか、やさしいさらりとした味わいでした。
もう一人の同行者が、タカビーな日高見を飲んでいたので飲み比べてみましたが、やはり純米酒はコクがありますね。でも、ボクのようなタカビーな人間は、いつもゼイタクなものを食べているせいか、普通酒の味わいのほうが身体にやさしい感じがして、虎ノ門をもう一杯飲んでしまいました。
この居酒屋は、国際詐欺団の事務所の近くにあるのですが、22時閉店で追い出されたワレワレ4人一行は、新橋駅へ向かいました。
このあいだ国際詐欺団の飲み会をやった横丁の飲み屋へ行くと、閉店の片づけ最中で入れませんでした。でも、その横丁の通路は、酒場と化していました。寒い夜でしたが、酒さえあれば、外でもかまわないわけです。味覚も寒さも錯覚ですからね。
通路にあるテーブルにテキトウに座ると、おねえさんが注文をとりにきました。
ああ、書くのがメンドウになった。
トツゼンですが、おわります。とにかく23時ごろまで飲んで帰りました。
「見えていることだけが、現実ですか?」
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