オリンピック後バブル後。
43歳の靴職人が「いまはバブルですよね、バブルだから終わりがありますよね」とおれに向かって言った。一緒に酒を飲んでいるときだ。
おれは「終わりはあるけど、バブルそのものが前とちがうから、終わり方もちがうだろうし、終わったあとも前のバブル崩壊後とはちがうだろうね」と言った。
そのあと、前のバブルと今のバブルのちがいなどを話したりしたのだが、かれは、仲間の左官職人のことを心配していた。
その左官職人は31歳で結婚していて幼子が2人いる。このバブルが終わっても、左官の仕事は大丈夫だろうかというのだ。
東日本大震災、20年のオリンピック、そしてバブルの震源である超低金利政策は再開発と住宅建設を誘発し、建設建築ラッシュで左官の仕事も大忙しだ。だけど、いまのバブル景気が終われば、個人住宅の建設を中心に需要は急激に落ち込む可能性がある。
マンションも含めて個人住宅の建設では、かなり無理なローンが蔓延している感じだ。若い人たちに無理なローンを組ませて、それで住宅建設の売り上げを確保しているからだ。ただでさえ低く抑えられている労働者の賃金が、このままで推移していけば、バブルが終わらなくても、新築の需要は壁にぶつかるのではないか。
と、左官にとってよくない材料があるのだが、しかし、年々労働力不足も深刻になっている。その需給バランスが、どうなるか。
飲食店経営をしている知人は、「東京オリンピック後」に備えた経営を、地域の同業者と追求している。いまの景気は、東京オリンピックまでだろうと見ているのだ。
かれらは2008年のリーマン・ショック後の飲食業の落ち込みと低迷をよく覚えている。あんな目にあうのはご免だから、こんどは、備えようというわけだ。
そこに不安材料が加わる。これまでいい顧客で消費を担ってきた「団塊の世代」などのボリュームゾーンが高齢化し、外飲み戦線から脱落し始めている。これは加速的に進みそうだ。そして、若い層からの補充は、あまり期待できない。
こうやって考えていくと、あまりよい展望が持てない。
ところが、展望がないわけじゃない。ないわけじゃないが、個人がやれることは限られる。組織とコミュニケーションと文脈の力になるか。
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2017/11/10
バブルだねえ~。
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