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2018/03/22

「新しい骨董」ボトルキープ100本記念飲み会@浦和ねぎ。

先週17日(土曜日)、「新しい骨董」の人たちが来て浦和で飲み会をやるというので、主催のくまさんから誘いがあり参加した。前にも同じような誘いがあったのだが、都合がつかず初めての参加だった。

会場は、浦和のねぎ。正式には、「串焼亭ねぎ」浦和店だ。ねぎのほかの店には入ったことがあるが、ここは初めて。深谷市から始まった店なので「ねぎ」という、と、くまさんに聞いた。なるほど。

「新しい骨董」というのは、以前に書いたことがあると思うが、世間的にはアーチストグループってことになるんだろう、メンバーは山下陽光、下道基行、影山裕樹の3人。影山下道と、漢字の尻とりでつながる。それぞれ福岡、名古屋、都内に住んでいる。それぞれ「職業」も違う。

その3人が浦和に来て飲むことになったのは、行ってから知ったのだが、浦和ねぎでキンミヤのボトル7合瓶を続けて100本キープすると2升5合瓶をもらえるというサービスがあって、「新しい骨董」で100本を突破したからだった。

19時スタートに間に合うように着くと、その2升5合瓶が出てきた。初めて見た。すごい迫力だ。

「新しい骨董」のボトルキープは、誰が飲んでもよい、ただし、飲み空けたら必ず次のボトルを入れておく、という仕組みで、浦和周辺で続いている。ときどき遊びに行く北浦和の居酒屋ちどりでは、46本目になっているそうだ。

「新しい骨董」の活動は、ほかにもあって、「裏輪飲み」というやつだ。これは100円ショップで300円で売っているマグネット付きの四角いプラスチックのカゴを裏返しにして、ところかまわず街中のシャッターなどマグネットが効くところに留め、その上にアルコールやツマミを置いて囲んで飲むというもの。

どちらも、2016年のさいたまトリエンナーレを契機に、さいたま市の浦和区を拠点に始まったらしいのだが、じわじわ広がっている。

この仕組み、とりあえず安く飲めるという、参加ハードルが低いのがいいし、まったく知らなかった人たちがつながっていきながら、普通に生活していると縁がなくなっている地域の中間的なコミュニティが形成されていくところが、すごく面白い。

それぞれの店と客というつながりをこえて、人びとが交差する。そこに、いろいろな「遊び」が生まれ、またそこで知らなかった人がつながっていく、という感じなのだ。

それぞれの店と客の関係を超えた、面白い動きが生まれている。

それは「共考」「共生」の場としても機能し、辛気臭い「地縁」とはちがう、生き生きとした人間関係が育つ。と、最近、五十嵐泰正さんの『原発事故と「食」』(中公新書)を読んで、「共考」「共生」は、やはり地域コミュニティが基本だよなあと思っていたこともあり、今回とくに強く感じた。

とにかく、30人ほどが集まって、盛大な飲み会になった。大ボトルには参加者全員が寄せ書きをした。会期はいつからか忘れたが、場所は広島現代美術館かな?での「新しい骨董」展に、これも出品する予定とか。

途中で山下さんに「インタビュー」されて、まだあまり酔っていなかったけど、酔ったようにいい加減な話をしていたのではないかと思う。

おれはもともと「昔はよかった話」にはあまり興味がなく、いまが、昔と比べてよいかどうかの問題ではなく、とにかく、いまが面白いと思っている。それは、「新しい骨董」のように、面白いことをしようという人たちが、たくさんいるからだろう。

少なくとも、「自分の人生を歩こう」という、おれはこれを勝手に「インディーズ精神」「インディーズ文化」と呼んでいるのだけど、そういう人たちの活動は、アノ「昭和」よりはるかに自由で活発になって、あちこちに存在している。それはレベルもいろいろだけど、お互いの生き方を認めあい尊重する流れは大きくなってきた。

たとえば、昔は映画館がもっとたくさんあって、もっとみんなが映画を楽しんでいた、というけど、昔は、それぐらいしか楽しみがなかったのであり、それも国民的には「正月映画」なるものが存在したほどで、メディアの「送り手」と「受け手」は、はっきり分かれていた。

そういう意味では、「私つくる人」「私みる人」というアートの関係も、変わった。誰でも表現者になれるし誰でも表現者なのだ。

ま、価値観の押しつけと盲従はなくならないのだけど、そういう人たちとは違う動きの広がりがあるわけだ。

それが面白くてたまらん。「新しい骨董」など刺激的に面白い。

ということで、23時まで、しっかり飲んで、ああだこうだしゃべり、楽しく過ごした。最後に店の前で記念写真を撮った。いい感じだった。

そうそう、これまで北浦和や浦和で遊んでいても、ここ東大宮の人とは会ったことがなかったが、初めて一人いた。東大宮での「新しい骨董」ボトルキープは、二つの酒場であったようだが、継続されていないらしい。これからだ。

この17日の翌日18日は、みちくさ市へ行った。一昨年のみちくさ市で、「新しい骨董」の人たちと初めて会ったのだった。

今回のみちくさ市も、これまた、すごい面白かった。まさに「共考」「共生」の場であり、素晴らしい。初めての「地下アイドル」。改憲議論もあったし、パトカーの出動まであった。そのことは、また明日。

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