「前」は、どこにある。
今月になっていろいろ進行しているのだが、簡単ではないことばかりだ。ま、政界もゴタゴタしているが、政界だけじゃない、政界の動きなんか上っ面のことであり、身体でいえば皮膚の表面のことだ。皮膚に包まれた身体の中では、大きな変化があるようだ。ほんに、日本は、大変なのだなあ。
おれはトシだから現場にからめない、体力が衰えているからねえ、トシだなあ。
現場にいれば力技もつかえるが、そうもいかないから、相談にのって次のステップまで、ジッと待っている。うまくいかないかもしれない、うまくいくかもしれない。どのみちマイナスにならないことがカンジンだ。いまどきは。
そう思ってジッと待ちながら眺めていると、けっこうよく見えてくることもあって、なかなか面白い。
「前向き」というが、どの方向が前なのか。積極的な人ほど、じぶんの「前」が正しいと思っているようだ。
あと情報処理のスピードは、早いほどよいと思い込んでいる人も、積極的な人には多いようだ。
「適切」とか「適正」という概念がない。積極的に見えるのは、あんがい「意識が高い」とか欲張りなだけだったり。
複雑な状況への対応や姿勢は20代30代のほうが「シッカリしている」と、ある人が言っていた。確かに、そんな感じもある。
40代ぐらいになって、多少なりとも人の上に立ち、小さくても権力や権威が手に入ると、それを見せたがり、ふるいたがる、好きなようにやりたがる。そのダメさ加減を、下のものは、シッカリ見ている。
ということは、かつて、団塊の世代とその下の世代のあいだにもあったが、その当時といまの20代30代が大きく違う点は、この年代から人口の年齢構成がしりすぼみになっていることだ。それと、かつてなかった社会や経済のシステムや制度の疲弊、行き詰まり、これらがモロに20代30代にかぶっている。
そんな話を聞いたり、したり。
そうそう外国人労働者のこともあった。たいがいの仕事が外国人労働者を現場で抱えているようになっている。彼らへの対応も、20代30代のほうがうまいらしい。
これらは、ライター稼業、出版業界以外のからみのことだが、某編集者が言っているように、出版業界は「権威主義が蔓延している世界」だ。どこの出版社から本を出した、どういう出版物に書いている、その出版社や出版物、著名な人物や編集者などとの仲良し具合まで、誇らしげな権威や特権になる。そして「世界を把握している気分になる」。そういう権威をふりまわしたがるのは、やはり40代ぐらいからのようだ。
うっとうしいことだ。いまの日本、権力や権威に拘泥しているバヤイじゃないだろう。だけど、政界もちろん、いたるところ大勢は、そんなアンバイなのだな。
おれは別の方向にいる。
面白い刺激的な仕事の打ち合わせをした。これはライター稼業のことだ。またもや論考の原稿の依頼なのだが、テーマも含め、なかなか刺激的な企画だ。
ビビットな情報は、誰でも手に入れやすくなっている。モンダイは、それをどう咀嚼し企画化するかなのだ。権力や権威でやれるわけではない。権力や権威をかざすような精神では、うまくいかないだろう。「上」ばかり見て「前」を間違えてしまう。そういう人が多いことは、おれにとっては都合がよいのだが、彼らは自分の実力ではない力を持っているので困る。出版業界に限ったことではない。
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