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2018/05/21

長寿健康自然志向系飲食の扱い方。

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2018/03/30「座・高円寺の広報紙、フリーマガジン「座・高円寺」19号の特集は「高円寺定食物語」。」に載っている食堂をボチボチ紹介している。

今回は、「こうじ料理・酵素玄米のお店」を謳っている、「つる来」という食堂だ。
http://tsuruki-kouji.com/

大雑把には、マクロビ系オーガニック系ということになるだろうか、とりあえず「長寿健康自然志向系」ということにしておく。

おれは、1980年代の中ごろから、この分野で熱心な人たちと付き合いはじめ、有機栽培系の生産者が活躍していた山奥の産地で暮らしたこともあり、1990年頃は、当時は「マクロビ」という言葉は使われていなかったが、そういう食事を数か月ばかり続けた。正確には、「自然農法」に取り組む家族の家に、なかば「下宿」して仕事をしていたので、そういう食事を頂戴していたのだ。そのあと東京で1年ほど玄米食と続けたことがある。

その後は、以前と同じように、普通の食事をしている。

近年になってからは、このマーケットが注目されるようになり、調査を請け負ったりした。前にもこのブログに書いたことがあるが、この方面に多少の知識はある。だけど、お店を取材をして書くのは初めてだった。

こういう飲食や飲食店をめぐっては、いろいろな話があるし、また実態も様々なので、実態把握も伝え方や表現が難しい。

とりあえず、今回は、一般的な食堂と一緒に載ることでもあるし、つる来のような飲食店こそが「いい飲食店」という印象が増大する方向へ加担することは避けたかった。

というのも、飲食や料理に正統性や優越性を求める結果、「長寿健康自然志向系」は正しく優れていて、それを扱う人たちは研究熱心で志や意識が高く正しく優れているという印象が増すことで、一方では一般的な普通の食事やそれを提供する仕事に関わる人たちが低く評価されたり見下される位置に立たされることがあるからだ。

以前、何かのテレビのそういう番組を見ていた食堂の人と客が「おれたちはどうせ邪道の人間だからね」と自虐的冗談をとばしているのを聞いたこともあるが、似たようなことに何度か遭遇した。

とかく、メディアサイドで仕事をしている人間は、いい気になりやすい。そこから生まれた表現は抑圧的になりやすいし、単なる同調や、ともすると屈折や反発を招きかねない。より正確な認識と理解のさまたげになる。

それからもう一つは、「つる来」が提供する玄米食は「長岡式酵素玄米」というものだが、これを「宗教」と見ている人たちもいるようで、それは「長岡式酵素玄米」そのものについては正確な認識ではないだろうということだ。

だいたい「宗教」だからと否定することそのものがおかしい。「政治的」「思想的」「宗教的」だからと否定する妙な風潮があるのも問題だろうけど、それはともかく。

「長岡式酵素玄米」は炊いた玄米の発酵に特徴があり、つる来は、ようするに、おかずも含め発酵を活用している店なのだ。そこで、「長岡式酵素玄米」について説明したあと、このように書いた。

「「発酵食品」というとカタイ感じだが、納豆、みそ、しょうゆ、かつお節など、昔からなじみ深い。ただ、工場生産によって発酵の仕組みも変わった。そこで、手ずからの発酵料理に関心が集まっているようだ。「自然派健康志向の定食」といってしまうと、これまでは「健康度外視定食」のようだが、そういうことではない。健康や幸福についての考え方が様々になったのだ。お互い認め合い、おいしさたくさんあったほうが楽しい。というのは、筆者の考えなのだが」

おれはもともと、飲食に正統性や優越性は求めていない。また、つる来の店主も、正統性や優越性を主張しているわけではないし、押しつけがましさはない。自分の健康な生き方への関心に従っているだけなのだ。

ところで、飲食店の商売は立地に左右されやすい。

「こういう定食は、都内でもまだめずらしい。それが高円寺にある。つる来は早稲田通りにあって、駅から少し離れているからか、価格の面でやりにくいこともあるようだ。ある意味、「安い高円寺」でのチャレンジともいえるか。遠方、名古屋などからのお客さんもいるそうだし、高円寺の定食の魅力がふくらむ可能性も感じる」

優劣より、事実を全体的な視点で歴史や社会(地域)に位置付ける。それは、ライターの仕事で、肝心なことかな。

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