喉に刺さった魚の骨。
酒場のカウンターで隣に座ったのが、イキのいい看護師だった。会うのは二回目だが、このとき、彼女は病院の看護師で、最近は救急を担当していると知った。
彼女の話によると、いちばん多い「患者」が、魚の骨が喉に刺さった老人と子供だという。
土用の日には、うなぎの骨が喉に刺さった老人や子供が10人近く来たと聞いておどろいた。
おれはうなぎの食べ方が足りないせいか、うなぎの骨が喉にささることも知らなかったが、「土用」ということで、そんなにうなぎを食う人がいて、そんなに骨が喉に刺さるものなのか。
彼女がいうには、うなぎの骨は刺さりやすいらしい。
いちばん多いのはあじの骨だという。それはわかる、おれも子供の頃、何度かあじの骨が喉に刺さり、するとごはんをかまずに飲めといわれたり、それでとれないと、父がピンセットか何かでとってくれた。
小学校に上がる前のことで、白熱灯の下で、おれは口をあけ、父がとってくれたのだ。そういうことが何度かあったが、たいがいあじの骨だったという記憶がある。小学生以後は、魚の骨が喉に刺さった記憶はない。
魚の骨が喉に刺さった人は、救急車で来るのだろうか。
ほとんど家族が運転のクルマかタクシーだそうだ。ま、そうだろうな。
たかが魚の骨が喉に刺さったぐらいで、と、思ったが、彼女はたかがじゃないという。小さなトゲだってイヤなものでしょ。
ちゃんとレントゲンをとって処置するのだそうだ。
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