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2018/08/15

「終戦記念日」に『瀬島龍三 参謀の昭和史』を読む。

今日は「終戦記念日」だ。「敗戦記念日」ともいう。どちらを用いるかで、そこに「思想」をみる人たちもいる。実態としては、敗戦し終戦になった。負けていなかったと強弁する人たちもいるが、日本の歴史上初めて、外国軍隊の占領下におかれたという事実は、消えるわけではない。

ってことはともかく、これまで終戦記念日だからといって、とくに何か書くほどのこともなかったが、今年は何故か、なんだか、あの敗戦が何かを呼び掛けてくる。

それは安倍政権が強力に進める改憲論議のせいかも知れない。改憲論者が、現憲法を占領軍の「押しつけ」をいうほど、あの敗戦と占領の事実が大きくふくらむ。

四月と十月文庫『理解フノー』にも書いたが、あの戦争で、父の弟が南の海で戦死し、母の弟二人は南方の激戦地から復員したものの、戦地で罹ったマラリアのため病死した。

それはともかく、先日、浦和の古本屋で保阪正康の『瀬島龍三 参謀の昭和史』(文春文庫)を買ったので、読んでいる。

瀬島龍三は、昭和16年の日米開戦ときも、18年の敗戦のときも、大本営の参謀として重要な役割を担った男だ。シベリア抑留から帰国したのち、伊藤忠の「参謀」として存在感を強め、イマの日本の流れのポイントになった中曽根内閣の「参謀」として臨調で腕をふるった。これほど日本の歴史の要所で何かしらの力を行使できる立場で関わった人物は、いないだろう。

保阪正康の本を読むのは初めてだが、調査や取材が徹底している、そしてあの戦争を構造的にあきらかにしていく手腕が、なかなかすごい。

瀬島龍三を主人公のモデルにした山崎豊子の『不毛地帯』は、あれは小説だから作り話だね、ということはわかっているつもりだったが、さほど真実の姿に近づいていたわけではないことを自覚する。

いま第二章の「大本営参謀としての肖像」を読んでいるところだが、父の弟や母の弟たちが戦死や戦病死した「対南方作戦」が立案され実行されていく場面は、瀬島龍三とあの戦争の虚像をはがしていく迫力がある。

ってことで、今日はあわただしいので、ここまで。

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