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2018/08/22

構造と空気……お客様アンケート。

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あの大騒ぎだった「モリカケ」だが、野党の攻めには戦略がないから詰め切れないだろうということを、ごく最初の頃ツイッターでつぶやいて、それ以来この件についてはふれてないと思う。あ、もしかすると、「「アッキード」なんていう言い方をしていて詰め切れるか」なんてこともつぶやいたような記憶があるな。もうツイッターからは遠ざかっているので、調べなおす気もしないのだが。

ま、野党を腐すつもりはなく、ここ20年ぐらいかな?10数年ぐらいかな?権力者の「疑惑」の追及は難しくなっているわけだ。それだけ支配が狡猾になっているともいえるし、そのことを考えれば、おれならそういう攻め方をしないナと思うことがあったので、つぶやいたまで。でも、おれは野党の指導者でもブレーンでもないからね。

まだ「モリカケ」は終わったわけじゃないが、このことに関連して、「忖度」という言葉が流行語のように浮上し、それでおれは「構造と空気」という言葉がひらめいた。

「構造と空気」は、浅田彰の「構造と力」からの連想だが、ここのところずーっと「構造と空気」が頭に停滞している。「大衆食堂の構造と空気」というぐあいに。

きのう、2018/08/15「「終戦記念日」に『瀬島龍三 参謀の昭和史』を読む。」に書いた、『瀬島龍三 参謀の昭和史』を読み終えた。いろいろ調べながら読んだので、けっこう時間がかかった。

そしてますます「構造と空気」という言葉が、おれの頭の中でふくらむのだった。いまの「構造と空気」は、中曽根―瀬島の「臨調」「行革審」から始まったのだ。そのときの線引きのセンにそって、小泉、安倍と強化された。いわゆる「疑惑」の追及が難しくなっているのは、これと関係する。

ということはおいといて。

今日、ある書類を探していたら、ある飲食チェーンの「店長直通 お客様アンケート」というのが書類のあいだから出てきた。

そうそう、飲食チェーン店の「お客様アンケート」を集めてみようと思ったことがあったな、でも、蒐集はおれの最も苦手とするところだから忘れていた、というぐあいなのだ。

飲食チェーンの店に行くと、お客様アンケートがテーブルの上のケースに入っていることが多い。社長室直通のアンケートもある。それぞれ、どういう意図でやっているか、アンケートからは読み取ることが難しいが、見ていると、こういうアンケートを集めて、上司たちの解析する能力の方は大丈夫なのかと思うような内容のものもある。もしかすると、俺様経営者は現場に目を光らせているゾという遠回しの脅しかも知れないと思うこともある。

お客様アンケートがつくりだす構造と空気、なーんてこともテーマになりそうだ。

それはともかく、この書類のあいだから出てきたアンケートの質問項目は、なかなかおそろしくて興味深い。これは、たしか、昨年の秋以後から今年の始めに、この店で食べて、テーブルにあったのを取って来たのだ。

1、料理の味はいかがでしたか?
2、従業員のサービスはいかがでしたか?
3、店内の清潔度はいかがでしたか?
4、お店の雰囲気はいかがでしたか?

ここまでは、ま、よくあるもので、「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価の選択になっている。

このあとを見て、目が点、じゃなく、カッと開いた。

5、明るく輝いているスタッフがいたら教えてください。
  ①いなかった  ②いた →スタッフの名前(     )

6、そのスタッフは、どこが輝いていましたか?
  ①笑顔 ②話し方 ③キビキビ働いている ④身だしなみ ⑤明るい声 ⑥説明が丁寧 ⑦その他(      )

いやあ、おそろしい。労働者をなんだと思っているのだろう。といっても、いまでは、監視カメラ下の労働が普通になりつつあるけどね。バカな経営者は大助かりさ。

なにより、これを見た客は、こういう基準で従業員を評価するのがアタリマエになるだろうし、どんどん均一化はすすみ、「高いレベルの均一化ならいいじゃないか」なーんてことになりかねない。

もうすでに、優秀モデルを定めての「高いレベルの均一化ならいいじゃないか」という感じは、けっこう蔓延している。これ、「多様化」でも「個性化」でもない。こんなんで「後期(末期?)資本主義日本」を乗りきれるか。

80年ごろまでの、優秀モデルを設定して、みんな同じように競争するというやり方ではないか。いいモデルを追っているようだが、かつての「ジャパンアズナンバーワン」といわれた時代までのように、工業生産でイケイケの時代じゃないのになあ。もっともそうなってからも「プロジェクトX」なんてので、昔の成功を懐かしんでいたのであるが。

まだあのころの成長モデルから抜け出せず、こんな風に「構造と空気」はつくられ、一元的な価値観にもとづく優秀モデルを基準に、お互い欠点を見つけあい叩き合い捨てあって均一的に質の向上を図りながら切磋琢磨し疲弊しあい末期症状を拡散させながら共に沈んでいくのであろうか。ああ、神様仏様瀬島様。


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