『たすかる料理』按田優子の推薦図書。
「按田餃子」の按田優子さんによる『たすかる料理』(リトルモア、初版1月で2月には2刷り)は、かなりおもしろい。その画期性は、おれの『大衆食堂の研究』のはるか上をいくね。いわゆる「料理本」のたぐいになるだろうけど、単なる実用書でもない、生きること食べることに関する、なかなか教養深い書で、こういう傾向のものがなかったわけではないが、やっぱりなかったといえる。
『たすかる料理』(リトルモア)の最後には、「ふろく」として「按田優子の推薦図書」が載っている。このブログでその紹介をするつもりだったのに、すっかり忘れていたことを、按田さんと会って思い出した。
推薦図書は、「食べ物と体のヒントになる本」として、按田さんの紹介文付きで10冊あげられているのだが、そのラインナップがおもしろいのだ。
順番にあげてみよう。
『冷蔵庫いらずんのレシピ』按田優子著、ワニブックス
『ビダハン「言語本能」を超える文化と世界観』ダニエル・L・エヴェレット著、屋代通子訳、みすず書房
『雲南の照葉樹のもとで』佐々木高明編著、日本放送出版協会
『横井庄一のサバイバル極意書 もっと困れ』横井庄一著、小学館
『闘魂レシピ』アントニオ猪木著、飛鳥新社
『健康自主管理のための栄養学』三石巌著、阿部出版
『オナラは老化の警報機』荘淑旂著、祥伝社
『秘伝 発酵食づくり』林弘子著、晶文社
『内臓のはたらきと子どものこころ(みんなの保育大学)』三木成夫著、築地書館
『男前ぼうろとシンデレラビスコンティ』按田優子著、農山村漁村文化協会
最初と最後が按田さんの書で、この紹介文を読むことで、按田さんの生きる思想を知ることができる仕立てになっている。もちろん、その生きる思想は、食べる思想でもあるのだが。
この10冊のうち、按田さんの本を除き、書名すら知らなかった。『雲南の照葉樹のもとで』の編著者佐々木高明の本は、なにしろ「照葉樹林文化論」がにぎやかだったこともあり、何冊か読んだことがあるぐらいだ。
「食の本」は、ごまんとあって、いろいろな選び方があるけど、こういうラインナップになるのは、珍しいと思う。
「生きることは食べること」「食べることは生きること」など、近年ますます「食べる」と「生きる」が関連づけられて語られるようになったけど、その二つがシックリ包括されている感じの著述や実践は少ない。
按田さんは、著述でも実践でもシックリいっている、数少ない人といえるだろう。しかも、「按田餃子」のビジネスとしても成功しているのだから、ま、ビジネスとしての成功は、そこに現代の「流れ」を見るべきだろうけど、早すぎもせず遅すぎもせず、それにのれたのは、このラインナップに見られる、視野の広さと思想の柔軟性によるのかもしれない。
って、ことで、では、按田さんは、これらの本についてどういう紹介の仕方をしているかについては、面倒なので書かない。これからの「生きる」と「食べる」に関心がある人は、ぜひ読んでみてください。
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