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2020/01/01

あけましておめでとうございます。

気力体力とも低下しながら、今年もテキトーにブログと付き合っていくつもりであります。よろしくお願いします。

77歳になり、「喜寿」なんていわれるが、政府に70歳まで働け(搾り取られろ)なんてエラそうにされる時代の喜寿なんて「寿」でもなければめずらしくもないし、ただのやっかいものだ。やっかいものらしく、生きてやるさ。

昨年読んだ刺激的でホットな三冊から、これからの自分の指針になるキーワードを選んでみた。

「とるに足らない」とされたものたち(猪瀬浩平『分解者たち』)、
修理の美学(藤原辰史『分解の哲学』)、
いい加減を鍛える(五十嵐泰正『上野新論』)。

修理は「メンテナンス」や「再生」の概念も含んでいる。1970年代中ごろ江原恵と出会ってから、「生活料理」をテーマにいろいろやってきたわけだけど、そもそも「生活とは何か」ということは、それほど明快ではなかった。

とくに80年代以降の「内需拡大策」のもとで、生活、その中心であった「家事」は、「外部化」が急速にすすみ、多くは産業と資本の支配下の市場に依存するようになり、複雑化した。

それまでの「生活」は、ほとんど「消費」におきかえられるほどになった。

「消費に役立つ」情報や知識や煽りをシャワーのように浴びながらの日常が普通になり、街は暮らしの場から産業に貢献する消費のための施設に変貌し、生活は、そこに埋没していった。

『分解の哲学』を読みながら、「生活とは分解」だったことが思い出された。「分解」つまり「修理」や「メンテナンス」や「再生」であり、「家事労働」のほとんどはこれだったし、いまでは「手作り」「手作業」などと懐かしがられたり珍重されたりする。

こういう変貌をもたらした産業は、片方で、機械的に、「「とるに足らない」とされたものたち」をたくさん生んできた。「いい加減」を排除する「不寛容」の思想と環境の広がりでもあった。

テナことをグルグル考えながら、本を書く準備をしている年明けなのだ。

これから、ますます状況は複雑化の度合いを深めるだろう。そういう中では、これまで以上にシッカリした視座や視点を持って書くことが大切と考えている。この三つのキーワードは、そのためのものだ。

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