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2021/04/09

小沢信男―長谷川四郎―平野甲賀―エヴァンゲリエ。

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2021/03/25
今月もおわる。
https://enmeshi.way-nifty.com/meshi/2021/03/post-041e37.html

に書いたように、3月3日に亡くなられた小沢信男さんにいただい本、『捨身なひと』(晶文社2013年12月20日発行)と『本の立ち話』(西田書店2011年3月6日発行)を読み返したら、どうしても長谷川四郎の作品が読みたくなった。

図書館で検索すると、「シベリヤ物語」や「鶴」など、小沢さんが「ドキュメンタルな小説群」とよぶものは『長谷川四郎全集』で読むしかないようだ。ついでに全部読んでやろう。

全集は書庫入りしていたから、係の方に出してもらった。一目でわかる平野甲賀のブックデザインだった。

平野甲賀は小沢さんのあと、3月22日に亡くなられた。

1巻に収録の「シベリヤ物語」を読んでいたら、「エヴァンゲリエ」という言葉が出てきた。ちょうどネットでは「エヴァンゲリオ」とか「シン・エヴァンゲリオ」とかいう言葉が飛び交っていた。

「ゲリエ」と「ゲリオ」一字違いだが、関係あるのだろうか。「ゲリオ」のほうは、まったく知らないというか、関心がなかった。

「ゲリエ」について、こんなふうに書かれている。

シベリヤに抑留中の「私」は、ある鍛冶工に「あなたは神を信じますか?」という。
彼は「もちろん信じます」
「教会へ行きますか?」
「行きます。しかし、それは古い正教の教会ではありません。あれは堕落したものです。あれは坊主がウオトカを飲む為のものです。私の行くのは普通の家です」
十字架のついていない、普通の家。そこに集まる。坊主などいない。普通の労働者が集まった人たちを指導する。
「そんな宗教があるのですか?何と云う宗教です?」

 「エヴェンゲリエ」と彼は言った。「戦争前からありましたが、アメリカから来たそうです。戦争中アメリカは要求した――政府がこの宗教の邪魔をしたら、アメリカはソビエトの援助をしない、と。それで戦争中にだんだん増えました」
 私は黙って考えた、このアメリカとは何者だろうかと。

「エヴァンゲリエ」とはなんだろう。
ネットの検索では、「ゲリオ」ばかりで、わからない。
アメリカが何者かなんか永遠にわかりそうにない。人種、宗教、思想、武器…などのごった煮だ。

それにしても、長谷川四郎、このリアリスト、このリアリズム。おれは全身をわしずかみにされた。

丁度、この数日、体調優れずごろごろしていたので、1巻は読み終え、いま2巻目の「鶴」を読んでいる。

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