欧米型食生活、日本型食生活というけれど。
イスラエルのガザ攻撃はひどいことになっているようだ。
シリアはどうなっているのだろう。
あのパレスチナの地あるいはシリアの地、ようするに西アジアは「中東」などとよばれ石油ばかりが注目されるが、広く食されている食材の原産地であり、1万年来の文明を支える食事が続くところだ。
コムギ、エンドウマメ、ソラマメ、ニンジン、タマネギ、ホウレンソウ、ダイコンなどの野菜、ブドウやリンゴ、ビール、ワインなどの栽培や生産、ウシ、ヒツジ、ブタの家畜化、これらは西アジアを起源としている。
乳製品の歴史も古く種類も多い。オリーブの実を食す歴史は新石器時代以前に遡るらしい。
そこから改良を加えられながら伝播し、いま日本で「欧米型食生活」といわれるもののコアな食材の起源は西アジアにある。
テナことを最近読んでいる。
そして、日本の食生活と、かの戦火の地の、深いつながりに思いをはせる。
シリアの農村で20年以上調査を続けてきた常木晃は、「現代の西アジアのレストランのメイン料理は、キャバブと呼ばれるヒツジの焼き肉が中心ですが、村の人々の食事にほとんど肉は出てきません。彼らが肉を食べるとしても、月に数回ほど、ほんの少しのひき肉を野菜料理に混ぜる程度です」「実はシリアの人々にとっての重要なタンパク源やカロリー源は肉類ではなく、豆料理や乳製品であり、オリーブ油なのです」と述べているのだが、こんなおもしろいこともいっている。
「現在世界の穀物生産量は毎年20数億トンにもなりますが、そのうちコムギ、コメ、トウモロコシの3大穀物で全体の8割にも達します。最初にコムギが栽培化されて以降のこの1万年間の人類の食物史は、この3種類の穀物への偏愛ということにつきます」
そうそう「偏愛」だよなあ、と思いながら、その「偏愛」を推し進めたのは、侵略と略奪と搾取の体制だったのではなかと思うのだった。パレスチナやシリアの地で、いま起きていることはもちろん世界中で。
「欧米型食生活」「日本型食生活」といった言葉あるいは概念は、実態としては、まったく無意味だし、未来を構想する力にはならない。
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